鯉沼Th.にとってカウンセリングとは
- Koinuma Noriko
- 9月8日
- 読了時間: 4分
正直に言うと私にとってカウンセリングとは、決して「かっこいい仕事」でも「スマートな技法」だけで成り立つものでもないと思っています。
もちろん、理論や技術はカウンセリングを行う上で大事だとは思います。
学んできた知識もあります。
でも、それだけで人の心に触れようとするのは正直甘いのかなと思います。
もっと言えば、そんな“頭でっかち”な姿勢はクライエントさんにすぐに見透かされてしまいます。
私にとってのカウンセリングは、どれだけ自分の「心の揺れ」に正直でいられるか、ということがすごく大事だと考えています。
目の前にいるクライエントさんは、困難を抱え苦しみ、戸惑い、怒りや悲しみに沈んでいる。その思いや言葉に触れたとき、自分の心がまったく動かなかったとしたら……私はその瞬間、カウンセラーとして生きていくことは難しくなると思っています。
人の心に触れるとは、自分の心も一緒に揺さぶられるってことなんだと思います。こちらの心も痛いし、重たい。
だからしんどい時もある。
だけど、だからこそ、そこでしか生まれない「関係」がある。
私はその瞬間を信じて、この仕事をやっています。
ただ、こうやって人の話を聴く仕事をしていると、自分の心がどれだけ安定しているかが本当に大事になってくるのです。
というのも、自分の中がグラグラしてると、こちらが何も言わなくても、その不安定さってクライエントさんに伝わってしまうんですよね。
本当に微細な空気感で伝わる。
だから、普段から自分のメンタルを整える努力は欠かせません。
睡眠、食事、運動……って、言葉にするとすごく地味だけど、結局そこなんです。
でも、それだけじゃ足りなくて、
「今の自分の心はどうなってる?」って、
常に自分に問いかけ続けています。
これが習慣になったのは、大学院に入ってカウンセリングのトレーニングを受け始めてからです。
それまでは、自分の感情なんてほとんど無視していました。
「勝つか負けるか」「得か損か」みたいな判断軸でばっかりで生きていて、感情は無視して結果が全てでした。そのため常に結果に振り回されて疲弊していました。
眠くてしょうがない朝は学校や職場、社会をも憎んで腹を立てていました。
でも、今は違います。自分の中で何が起きているかに気づくこと、それを無視しないことを日々続けて行くと、結果や損得に一喜一憂して振り回されるのではなく、日々の自分の気持ちやそのプロセスを大切にすることができるようになりました。
それはカウンセラーとしての私の土台になっています。
たとえば朝起きたときに、「あ〜だるいな…」って感じるとする。
その時、以前の私なら「うわ、最悪」と絶望感でいっぱいになるか、「気合で乗り切れ!」と無理矢理どうにかしようとしてどうにもならず、常にイライラしていました。
今はそうではなく、「なんで今、自分はそう感じてるんだろう?」って、一歩引いて考えるようにしてます。
昨日、筋トレやりすぎた?
気圧の変化?
仕事へのプレッシャー?
…そうやって、一つひとつ原因を探していくんです。
これ、めんどくさいし正直しんどいです。
考えるのを止めて二度寝したくなります。
でも、こういう地道な作業を重ねないと、自分の心を丁寧に扱えないし、他人の心にも丁寧には触れられないって痛感しています。
そして、この方法は日々のストレスを減少させ生きていきやすくなるコツだと思っています。
自分の心に鈍感だと、人の小さな心の動きにも気づけない。
逆に、自分の心の波に敏感になっておくと、クライエントさんの表情の変化とか、言葉にされない「空気」にも気づけるようになる。
そこから生まれる関係って、ほんとに深いんです。

私にとってカウンセリングとは、「クライエントさんと共にある」こと。
そして「自分自身とも共にある」こと。
どちらか一方が欠けたら成り立たない。
目の前の一人ひとりと、“今ここ”で、まっすぐに向き合う。毎回が真剣勝負で、一瞬でも気が抜けない。たまに緊張感に疲れたな、と思う時もあります。
だからこそ、やりがいがある。
日々クライアントさんと今を共有させていただきながら、カウンセラーとして今を生きています。




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